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NRSは、兵庫県西宮市越水町にある
スポーツサイクル専門の自転車屋です。
ロードレーサー,トライアスロンバイク,
ツーリングバイク,シティバイクの販売、
修理。
カーボンホイールやカスタムバイクの
ご相談もお気軽にお問い合わせください。

Neutral Racing Service

〒662-0864
兵庫県西宮市越水町1-2
ニューフタバサンモール内
駐車場有
TEL 0798-22-1988
営業時間 10:00~19:00
定休日:水曜日&木曜日
アクセスマップ
機材
ハブのベアリング抵抗とベアリングチューンの話

ZIPPリムを手組み販売しているトライアスロンショップで、シマノのデュラエースハブを使い、ZIPPウエポニー社製のコンプリートホイールよりハブの耐久性と転がりがアップしたホイールを提供していると説明しているところがありました。
断言しましょう。無意味です。
ZIPPウエポニー社製リムは、低価格と軽量化を実現するためにリムの耐久性は非常に低かったのです。
リム、ハブ、スポークの集合体であるパーツのホイールとして考えた場合、ハブだけいくら耐久性があってもまったく意味はありません。ZIPPリムで組まれたホイルにデュラハブを使ってもオーバークオリティーなだけで、そのホイールは生涯グリスアップなどする事も無く命を終えるでしょう。
また、「転がりがアップする。」というのですが、是非一度その様を見てみたいと思っていました。
別に、×転がりがアップする→○転がり抵抗が軽減すると作文の揚げ足を取りたいわけではないのです。
このケースは、魔法の数字とも呼ばれる700C(27in)の回転軸の抵抗の事を理解していないことから起きている、ホイールの都市伝説の一つなのです。
推測に過ぎませんが、7800系デュラエースのベアリングはG40~G100等級のベアリング球を使っていると思われます。我が国は、世界に冠たるベアリング大国です。私の友人に、ベアリングメーカーに特注でベアリングを造らせるような仕事をしているヤツがいます。R32GTRのアテーサETSを開発した会社といえばわかるでしょうか?元々、彼は私のチームメイトだった元ロード選手の会社での同期であり、開発部門でエンジニアとして働いていました。MTBがまだ極一部のマニアの世界だった頃、KuwaharaのMTBを私の元チームメイトが購入してくれたことをキッカケに、同じフロアのエンジニア達にも購入してもらった中で知り合いました。
最終的に同じフロアで働いているメンバー全員が自転車にハマりました(笑)。
今でも、自転車の工学的な部分に疑問を感じると、そのエンジニア達にホットラインを入れています。当時、安くMTBやロードやパナソニックのフルチタントレンクルを提供したから許してもらえるでしょう(笑)。
デュラエースのベアリングスペックは公表されていませんが、ベアリングに明るいエンジニアに見せれば、そのベアリングの等級が幾らのものなのか特定することは可能なのです。彼らによれば、デュラエースのベアリングはG40~G100等級だということです。ちなみに、JIS規格ではG3が最高グレードに位置し、Gの後の数字が大きくなるほど等級が悪くなっていきます。
個人で、ハブに使用するだけのG3ベアリングを購入するのは相当額が必要になってきますが、シマノのようなメーカーが大量に発注し購入すれば最上位グレードのベアリング球に変えたところで差額は前後ハブ分を合わせても1000円以内に収まるでしょう。それをしていないのは、実効力が無いからだと考えられます。
前述したエンジニア達によれば、自転車は機械効率の観点で見ると、地球上ではダントツで高効率な機械だそうです。ガソリン自動車のエネルギー損失が70%オーバーであるのに対して、ロードバイクのエネルギー損失は10%を切っているのではないか?とも言っていました。そして、その10%未満のエネルギー損失は殆どがドライブトレインで発生しているのです。つまり、チェーンやスプロケット、チェーンリングやディレイラープーリー(これが結構馬鹿にならない)に気を使ったほうが、はるかに高い実効力を得ることが可能です。
ベアリングのチューニングを標榜するショップも数多くありますが、G3等級のベアリングに入れ替えるとデュラエースのハブがもう1セット購入出来るくらいのお金を取っているところもあります。
例えば、純正のデュラエースのハブに糸を巻きつけて、それをどのくらいの重量で引っぱるとハブが回りだすかを、ノーマルとベアリングチューンをしたハブで比較テストをしているお店のサイトがありました。
記憶では、純正の状態だと100g近い力が必要で、チューンしたものは10g程度の力で回りだしていました。確かに、ハブのベアリング単体での転がり抵抗は、激減していることが解ります。
では、それが実走行でどの程度影響をもたらすのでしょうか?
ベアリングにメンテナンス不良があったと仮定し、静止状態からハブに巻きつけた糸を引っぱって、ハブが回りだすのに200gの力が必要なハブがあったとします。そこでは、ベアリングの抵抗が純正の2倍になっているわけです。また、その抵抗のあるハブで組んだホイルと純正ノーマルのハブで組んだホイルの空転テストを行います。スポークに同じ重量を引っ掛け、回して何回転するかを数えるものです。抵抗のあるハブで組んだホイールは10回転で停止しましたが、純正ハブのホイールは20回転強で停止しました。ベアリングチューンを行ったハブで組んだホイールを回すと、50回転以上回っていました。乱暴な計算ですが、抵抗のあるハブとチューニングしたハブには5倍の転がり抵抗の差が出ていると言えます。
では、実走行ではどうなるのか。解り易く、走行テストはトラック(自転車競技場)で行なったと仮定しましょう。解りやすくするため、純正ハブで走ったタイムと純正の2倍の転がり抵抗があるハブで1時間でどれだけ走れるか(周回数)を比較してみることにします。
最初に純正ハブを使ったホイールで走行し、次に2倍の転がり抵抗を持つハブを使ったホイールで走行します。仮に、純正ハブを使ったホイールが100周回したとします。倍の抵抗のあるハブで走った周回数が半分になるか?というとそうでは無いのです。差は発生しますが、その差は1周回にも満たないでしょう。
更に、純正より50%以上空転した(ベアリングの抵抗が半分になっているという事)チューニングハブを使ったホイールで走ると、周回数が倍になるのでしょうか?
いいえ、なりません。1周回どころか、数センチから数メーター長くなるかな?といったところでしょう。
ライダーを含めても80kgから90kgの重量を支える車輪として、700C(27in)というサイズは過剰なサイズなのです。ここまで大口径の車輪を持つ乗り物は非常に特殊な存在だといえるでしょう。車軸の抵抗に対してほとんど依存していない為、700Cは魔法の数字と呼ばれるのです。
ハブのチューニングが無駄であると言っているわけではありません。
重要なのは、バイクをパーツの集合体として考える事なのです。基盤パーツであるフレームに始まり、ドライブトレイン、ワイヤードコントロールフリクション、タイヤ、ポジショニングといった要素全てを考えることが重要なのです。ハブのベアリングチューンは確かに有用かもしれません。しかし、その他の部分の精度が低かったら、完全に無駄になってしまうのです。