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NRSは、兵庫県西宮市越水町にある
スポーツサイクル専門の自転車屋です。
ロードレーサー,トライアスロンバイク,
ツーリングバイク,シティバイクの販売、
修理。
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ご相談もお気軽にお問い合わせください。

Neutral Racing Service

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トライアスロン考
[トライアスロン考その3]トライアスロンの都市伝説

前回のコラムでは、自分が自分の出場するトライアスロン競技が行われるコースに応じたホイールを選ぶことが重要になってくると書きました。
それでは、トライアスロンショップや選手が一般的に”巡航速度が良い”言っているホイールはどういったシチュエーションに向いているのでしょうか?その実態は都市伝説なのではないか?と疑問に思ってきました。
現在主流となっているトライアスロンは、オリンピックディスタンスで行われています。ハワイのようなアイアンマンディスタンスはマイナーとも言えます。
しかし、トライアスロンにかかわる者にとってハワイアイアンマンは憧れのレースであり、そこで起こったことは全てが絶対的な存在となってしまいます。よって、無意識のうちにアイアンマンレースで使用されるバイクを基にトライアスロンバイクを考えてしまうのでしょう。
つまり、バイクギャラリーで紹介しているこのバイクのような、高い巡航速度で直線をひたすら走っていくことに特化したバイクに何かしらの影響を受けているのです。
このバイクはホイールにコリマの4バトン26inを使用しています。これはハワイのコナウインドという横風対策のために採用したものです。コリマの4バトンは剛性が高く、剛性の無いこのケストレルのようなフレームとは非常に相性が良いホイールです。しかし、思いのほか空気抵抗や転がり抵抗が大きいという落とし穴も
あります。最近のカチカチなアルミバイクや高剛性を謳うカーボンフレームと組み合わせるとかなり脚に堪える組み合わせとなります。
剛性が高くて、慣性モーメントも大きいので巡航速度を維持するのが楽なホイールだといえます。
が、私の経験からは27インチのコリマ4バトンの方がより巡航速度を維持しやすいホイールといえますし、
やはり空気抵抗は無視できないファクターだと思います。

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事実、多くのトライアスリートが55mm前後のリムハイトを持つ、ZIPP404のような空力的に優位となるカーボンディープホイールを使用しています。
そういったホイールはコリマ4バトンよりも軽量である為、慣性モーメントが少ない(リムが軽い)ので巡航には不利と思われる方が居るかもしれません。が、それは空力と慣性モーメントのバランスが解っていないからでしょう。
自転車のホイールの慣性モーメントに関して確認しておきましょう。
ホイールの慣性モーメントは回転する構造体としてホイールを見た時、その質量の分布で変化します。全体の質量が同じであっても、ホイール外周部の質量が最も慣性モーメントに影響し、中心部となるハブに近づくにつれ、慣性モーメントの影響が低くなるのです。特に、700cという大口径のホイールにおいて、この質量の分布は中心部と外周部で想像以上の影響を及ぼします。
慣性モーメントは巡航速度に達するまでの加速や登板において、ライダーのペダリングエネルギーがバイクの速度エネルギーとなるのに直接影響します。慣性モーメントの大きいホイールは加速や登板に於いてライダーのエネルギーを多く奪うのです。
平地であれば、巡航速度まで加速してしまえば慣性モーメントの大きいホイールは力のため込み(フライホイール効果)が働くため、登板や(ほんの僅かでも)ブレーキングによる速度の損失がなければ、巡航速度を維持して走りやすいホイールといえるでしょう。が、実際にはそのようなコースは実世界には競技用の室内バンク以外存在しません。巡航速度を維持するレースの代名詞であるハワイのアイアンマンコースでさえ登板があるため、上位入賞者で慣性モーメントの大きいホイールを使用している選手は殆どいません。
慣性モーメントの大きいホイールで走った人が「スムーズに走れる」であるとか、「多少のアップダウンは、惰性で走れるから楽」といった感想を述べることが都市伝説そのものなのです。
重いホイールがスムーズに走れるというのは、ライダーの円滑でないペダリングを誤魔化す事ができるからです。重たいホイールには大きなフライホイール効果が働き、ペダリングが左右均等でなかったり、ギクシャクしていても速度の変化が少なくなります。結果、スムーズに走れているという錯覚を覚えるのです。
ギクシャクしているということは、何処かで動きが止まっているということであり、それはペダリングが非効率的だという事です。
トライアスロンバイクやロードバイクのようなフリーギアの付いた自転車しか知らないライダーのペダリングが如何にお粗末なものか、トラックレースをやっていた時期に私自身が実際に目の当たりにしました。トラックレーサーのギアはフィクスドギア(固定ギア)のため、ペダリングがスムーズであることがタイムに直結してくるのです。
「アップダウンを惰性で走るから楽」というのも錯覚だと言えます。速度変化に注文した場合、幾ら惰性で走っていたとしても、数字上は確実に減速しているのです。フライホイール効果のため、登り初めでの速度の低下が少ないだけであり、元の巡航速度まで再加速する時には慣性モーメントの法則がまともに働くので、ライダーのエネルギーを奪う事になるのです。
慣性モーメントの高い(重い)ホイールで満足しているライダーは、軽量かつ高剛性なホイールを使った経験がないのが殆どだと思います。軽量で剛性の高いホイールはコンプリートホイールとして購入すると非常に高価になるからです。
また、ショップの手組みホイールもここで取り上げているような都市伝説にハマっているパターンが多いと感じています。
リアホイールのスポーク長を長くして、スポークテンションを落とし、しなるホイールにすることでギクシャクした未熟なペダリングを誤魔化しているのです。
慣性モーメントが強く(重たい)、ペダリングパワーの伝達がダイレクトでないホイールは、未熟なライダーのペダリングスキルをカバーするという目的であれば正解なのかもしれません。しかし、より高みを目指すトライアスリートやロードレーサーにとっては、簡単に克服できる己の欠点に気づくことが出来ず、アスリートとしてのレベルアップへの遠回りとなるホイールしか知らないのは本当に不幸な事だと思います。